Self Liner Notes「星霜」

2016年11月28日 記録
2020年05月24日 追記

最初にタイトル、ジャケット、パッケージにつきまして、

アルバムタイトルの「星霜」とは年月。ここ数年作った楽曲をまとめて作ったアルバムということ、その間色々なことがあったこと、そんな思いから「星霜」というタイトルにしました。この期間をまとめて形にしたいというのがアルバムを作ったきっかけでもあります。

ジャケット、パッケージは「残す」ということを頭に置き通常のCDジャケットとは違う形に、楽曲を大事に残す、という意味で通常の封筒ではなく蝋引きの封筒を一つ一つ自分で作ってみました。デザインの方はお世話になっているグラフィックデザイナーonigiriの柳沢君にお願いし素敵なデザインに仕上げて頂きました。

もし機会がありましたら手にとってみて頂けたら嬉しいです。

ここからセルフライナーノーツになりますがサンプル音源と楽曲にまつわる動画を交えながら書かせて頂きました。購入の参考に、いや、そうじゃなくても結構ですので一読していただけたら幸いです。

■track1 「sea」

この曲は数年ぶりに海に行ってその時感じた感覚を曲にしたもの。

最初は海で採取した音を使って曲を作ろうと思ったがイマイチしっくりこない。では逆に海で聞いた音や感覚を楽器や短な音を使って作ってみようと思い作った感じ。

コーヒーをミルで削る音など使った覚えがあります。この曲で覚え1番多用したのが、本当に鳴らしたい音より一段高い音で演奏した音をピッチを下げて使うという手法。普通に演奏した音よりブレや膨らみがでて海を想起させたのでよく使いました。サンプリングした音でも使いました。この手法は今でもよく使います。

そのままイメージの音を使うことから、イメージを想起して曲を作るということを強く意識し始めた曲でとても気に入っている曲です。

追記
この曲の作り方や考え方は今に引き継がれていて作風が変わっていくきっかけになったのかなと今聴き直して思いました。

■track2「calm」

幾度となく紹介していますが「FUKUI FOOD CARAVAN vol.1」に楽曲提供した曲。素敵な映像に自分の曲が乗ったのを初めて見てとても感動したのを思い出します。

この曲自体は2年前ぐらいに作った曲でピアノを中心にアドリブに近い感じで弾き音を重ねて行った曲。この頃からピアノをメインに使う曲が増えた気がします。「雨音のようなピアノ」という表現をして下さった方がいましたがまさにそんな感じがします。しかしアドリブで弾いたせいかライブで再現しようとしてもなかなか難しい…。いつかきちんと演奏できる様にしたい。

calmという曲名ですがこのcalmという言葉がとても好きです。この曲にもピッタリ合っているんではないかと思います。calm色々な意味があるので調べてみてください。

個人的な事で言えば、自分がとても辛い大変な時にこの楽曲提供のお話を頂き幾分救われた様に覚えています。自分はそういう幸運をどこか持っているのかもしれませんね。ほんと感謝です。

この曲から少しずつ楽曲提供のお話を頂く様になったのでそういう意味でも分岐点的な楽曲になります。

追記
自分で言うのもおかしいですが良い曲ですね。この当時の作り方で一番良い曲ではないかなと思います。

■track3 「call」

これもcalmと同じぐらいの時期に作った曲。タイトルはバードコールとモーニングコールからつけた記憶があります。この頃バードコールを使い始め音が楽しくよく使っていました。ライブでもよく使ってた。最近は使ってないけど久しぶりに鳴らしてみたらいい音だと思いました。今度のライブで使ってみようかな。

朝のしっとりとした感じをイメージ。こんな曲作ったわりに自分の朝はいつもドタバタかグダグダ。たまには優雅な朝を迎えたいものです。この曲いくつかバージョンがあり密かにどこかで楽曲提供しています。ライブではこのアルバムと違うバージョンを演奏してみたいと思っています。

追記
その後この曲は色々なバージョンを作りました。短い曲なのにその後作ったバージョンは色々そぎ落とした感じになっています。今思うとこの頃は余計なというか、言葉で言うと説明的すぎる感じがします。でも次の曲「loose」もそうですが、この頃の様な賑やかな曲が今は作れなくなっていて寂しさも感じたりします。

■track4 loose

looseはゆったりという意味での曲名。

起承転結のある曲というのを意識したと思います。ギター、鍵盤楽器、リズム楽器、一通り使ってあり一つの物語として、そこそこ粘って作った曲だったと思います。最初のギターズレてるのが気になるのですが…音を重ね終わったあと修正するのが難しくそのままです…。あと音数が多い曲はミックスとマスタリングが難しい。この曲はその辺大変だったかな。

この曲も結構前に作った曲なので、あまりその時の記憶がなく…でも聞いてみると今作ってる感じと違い作り込んであって、もっと作り込んで曲を作るのもいいなと思いました。

■track5 fukui

この曲も「FUKUI FOOD CARAVAN」に楽曲提供させて頂いた曲。実は元々はdagbókで作った曲でこの曲をアレンジして作った曲です。

久しぶりに元の曲と聴き比べてみましたがおもしろいもんだなぁと自分の曲なのにそう思いました。リンク先のdagbókの文章にある様に音を探しながら重ねて行き余白にまた音を重ねると言った感じで曲を作りました。でもこの行程はこの曲に限らず僕の曲の大部分に当てはまる作り方。

「創造は記憶から」と言いますが僕のモノ作りはそんな感じで、普段の記憶のストックから制作時に浮かび上がってくる何かをつかみ鳴らす感じ。なるべく白紙の状態で制作に入り、その白紙がどんどん色が塗られ重なって行く過程が何よりも楽しみです。

動画のロケ地一乗谷朝倉氏遺跡はこの話を頂く前に「一乗谷 DISCOVERY PROJECT 」の本で見ていて「いつか行ってみたいなぁ」と漠然と思っていた所この話を頂きびっくりした覚えがあります。先日観光してきましたがすてきな所でした。今度は本にあった雪の積もった冬の景色も見てみたい。

■track6 rokurosha

福井県鯖江市河和田にあります「ろくろ舎」さんの映像「making of ROKUROSHA」のエンディング曲に楽曲提供した曲です。この曲もfukuiと同じ過程を通っていて、dagbókで作ったこの曲を元に作っています。

こちらの「FUKUI FOOD CARAVAN vol.1」映像の冒頭でろくろ舎の酒井さんが作業しているシーンがあり、ろくろを回す音がとても印象に残りサンプリングして曲に乗せました。

FUKUI FOOD CARAVAN vol.2 from Fukui Food Studio on Vimeo.

ピアノメインでギターの無い曲です。同じ音階を色々な鍵盤楽器で弾き重ね短いですがドラマチックに仕上がっている曲だと思います。この楽曲提供が縁でろくろ舎さんのオープンパーティーに呼んで頂き演奏もさせて頂きました。書き始めると長くなるので省略しますがとても思い出深い良い演奏ができました。多分一生忘れないと思います。

鯖江は今すごい勢いで進化しています。いや元々そういう下地があってそれがすごくいい形で広がっていってると思います。不思議な町で不思議な良い人がいてとっても良い所です。

making of ROKUROSHA from kazutoshi hasegawa on Vimeo.

■track7 levätä

この曲はギターメインの曲。多分秋頃に作ったと思います。秋の始まりの夜っぽい感じ。ギターとマリンバとグロッケンのみの曲でシンプルに仕上がっています。自分で言うのも変ですがかわいい感じの曲。グロッケンとマリンバ使うとそういう感じになりやすいかな。

ここから前半と少し雰囲気が変わってきます。前半より華はないけど緩やかな感じになります。

■track8 kjúka

続けてギターメインの曲。ガットギター下手クソなので後々聴くと恥ずかしくなること多いのですが思ったより弾けている曲だなと思います。うまくごまかしただけかな?ガットギターっていい音がするなぁとしみじみ思います。もっと演奏がうまければリバーブとかあまりかけなくてもいいんだけど…。

この頃音数の少ないシンプルな曲に興味が湧いた時期だと思います。でも最後ディレイ使ってる。結局いつもの癖が出たのでしょう。音数が少ないというか音の余白をうまく使った曲が作りたいと今は思っていますがなかなか難しいです。

■track9 sokkelo

いつも曲を作るのは自宅の自分の部屋なのですがこの時は気分転換でいつもと違う場所で作りました。いつもと違う場所なので、そこにあるものを使った音をサンプリングしてみたりしました。

この曲はドアノブを回す音をメインに使ってそこから音を重ねていきました。この音、意外にいいアクセントになったと思います。作る場所によっていつもと違うアイディアが出てくるので今はたまに自宅以外で作ることもあります。極端なこと言えばノートパソコンとICレコーダー(iphone)と小型のmidiキーボードがあれば曲を作ることできるのでどこにでも行けます。

昔バンドをやっていた時代には考えられなかったことで機材の進化に改めてびっくりします。

でも機材に頼り切らずアナログとデジタル、両方うまく使って曲を作ることをいつも心がける様にしています。

■track10 autumn night

秋の夜長という言葉がありますが、この曲はそんな秋の夜長に秋の夜長をイメージして作った曲。秋と言っても秋になり始めの夜虫が鳴く時のイメージ。実際虫の鳴き声を拾うのでなくシンセで虫の鳴き声をイメージして音を選び弾いてみました。結構前に作った曲でそんなこと考えてたなぁと今思い出しながら書いているとなにか不思議に感じます。作って時間が空くと少し離れた感じがして落ち着いて聴いたり、感じたりすることができるからですかね。

メディアアートや「共遊楽器」を表現する金箱淳一君の作品に楽曲提供させて頂いた曲でもあります。彼の表現、感覚には色々と教えられるというか勉強になることが多いです。昨年一緒にライブやったりしましたが、いつかまた何か一緒にやりたいなぁと思っています。

■track11 星霜

アルバム最後の曲でタイトル曲になります。気持ちは字の通り前回のアルバムからこの曲までの年月。

自分は曲を作る時できるだけフラットな状態に持っていく様にしています。その方が良い曲が作れるし、体力的にも精神的にも落ち着いている時の方が冷静に自分の曲を聴き俯瞰できるから。でもこの曲はあまり精神状態が良くない時に作った曲。そんな状態でも意外とすんなり音が出てすべてを出し切った感じ。何年か曲を作っていてこういう感じは滅多にないです。

音と自分の感情が重なり曲ができて色々な思いがこの曲に詰まっています。
今まで作った曲の中で自分が一番好きな曲。

こうやってアルバムを聴き直しセルフライナーノーツを書いてみると色々なことがあり、色々な人のおかげで色々なことができたなぁと思います。
意外と何か集中している時は気がつかなく当たり前の様に感じてやってしまいますが、自分の状態、人のおかげでできたことも多々あり当たり前ではないということに今更気付かされました。

関わって頂いた皆様に感謝すること、自分が健康であることに感謝したいと思います。
そして最後にちょびっとだけここまでやってきた自分を褒めたいと思います。

追記
このアルバムは自分としては結構自信があったアルバムだったのですが、思ったより売れなかったり、有名なお店の販売を応募して駄目だったり結構現実を見たアルバムです。今なら解るし、まあそうだろうなと納得できるのですが早い話、当時は調子に乗っていたのだと思います。自分の場合は調子に乗るとろくなことがありません。この後曲の作風が大きく変わっていったと思います。自分の環境も段々と変わっていきました。考え方も変わっていきました。そう言う意味でも作品を残すというのは自分の大事な記録の様に思います。いいことも悪いことも。

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